■ 2011年5月7日(土)

 IT企業のホスピタリティと自己破産B


 IT企業のホスピタリティ戦略(林田正光、ダイヤモンド社)を読む。
 この本の題材になったISFnet(アイエスエフネット)は、1963年生まれの渡邉幸義氏が率いるIT企業である。渡邉氏はIT企業を経て2000年に同社を設立し、10年間で1,800名のISFnetグループに育てた新鋭の経営者である。3月11日の大震災以来、電力不足が懸念されるなか、5月からのクールビズをいち早く導入し、テレビでも報道されていた企業である。
 林田氏は、ホスピテリティに関する著書を既に20数冊も書かれていて、氏が勤務したリッツカールトン大阪のホスピタリティを題材にしたベストセラーが有名である。
 この本の内容は、ISFnetのホスピタリティ社内研修にクレド作成が含まれていることに興味が惹かれた。クレドについては、2006年に前職のコンサルティング会社でお世話になったジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のクレドを思い出す。このJ&Jのクレドは、私の本棚の大事な資料として今も保管されている。
 また、ホスピタリティ力を磨く(ホスピタリティ力の極意)として、ホスピタリティ力を持てるか持てないかの差は「気づく」か気づかないかの差であり、その気づきについて以下のような柳生家の家訓を紹介している。
 ・小才は縁に逢って縁に気づかず
 ・中才は縁に気づいて縁を活かさず
 ・大才は袖振り合う他生の縁もこれを活かす
 柳生家といえば、柳生新陰流を編み出した剣豪の一族であるが、人と人との「縁」をモチーフに剣の道を究める術を説いたのではなかろうか。

 話題を変えよう。
 この見聞録で2001年〜2002年にかけて、数回にわたり自己破産と自助努力について考えてきたが、この4月末に富山へ帰省した際、老齢の父が認知症と診断されたこともあり、79歳になった母が自己破産を希望したため、検討することになった。この10年間、頑張ってきた両親の努力には頭が下がる思いである。そうなる前に何とかするものだ!と口で言うのは簡単なことだが、年齢という壁の重さにはなかなか対抗できないものである。

 (つづく)

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